
この世には二種類の絵がある。
浮き上がる絵と、浮き上がらない絵だ。
どこかの偉人がそんなことを言ったような言わないような。
SNSでは散々告知致しましたが、小学館「ぺぱぷんたす」003号に「ふしぎめがねで みる おはなし『 あおちゃんと とうめいなうま』」を描かせていただきました。

「ぺぱぷんたす」は簡潔に言うと、紙の遊びを一冊にまとめた本です。003号ですと、曲線で作る折り紙、水塗り絵、点字をなぞって遊ぶ「ゆびめいろ」などなどが綴じ込まれ、その他、著名なクリエイターの方々がそれぞれアイデアを出してページを作り上げています(個人的には鈴木のりたけさんのページが面白かったなぁ)。
その中の一つ、「ふしぎめがねで みる おはなし」のページを担当させていただきました。「ふしぎめがね」とは何ぞやということですが、こちらの絵本、「ふしぎめがね」を除くと…、浮き上がるのです!ほーら、さっきの画像のメガネの中をよくよく見ると、浮き上がって…ないですが…。
実際に本をご覧いただくとお分かり頂けると思うのですが(こちらビニ本(死語?)ですので、是非ご購入賜りたくお願い申し上げる次第です…)、色によって浮き上がり方が違います。そして、隣り合う色が変わると、また浮き上がる順番も変わったりするのです。試行錯誤でした。さらに、絵の中での奥行きと、メガネをかけた時の奥行きの整合性も持たせないといけないので、ここでまた混乱。そしてそしてメガネなしで見た時に一枚の絵として成り立ちつつ、メガネをかけた時のギャップも見せていきたい、という欲望。もっと欲深く、浮き上がり方のいろんなパターンも見せていきたい。わけがわからなくなりました。
この絵に取り組んだ数ヶ月の間、絵やグラフィックを見ると、「この絵は浮き上がるか、浮き上がらないか」としか考えられず…、「こんな色で浮き上がると思っているのか!」とアシスタントに怒ってみたり(アシスタントは架空の存在です)。

こちらはブックデザイナーの祖父江慎さんが(脇田あすかさんだったかもしれない)打ち合わせで模様を描いて渡してくれた「ふしぎめがね」です。へへ、私だけ特別仕様。ずーっとこれを覗きながら描いていました。
手に入れてくださった方に、絵本を見ていただくにあたり若干のコツがありまして、遠くから見た方がより浮き上がって見えます。一人だとメガネを持ちつつ、片手で本を持つのは大変ですが、読書スタンドに置くなり、お友達を呼ぶなりして、様々な角度から試してみてください。
そして、自分でもぜひ「ふしぎめがねで みる おはなし」を描いてみてほしいです。
ぺぱぷんたす公式Twitterでのつぶやきを拝見すると、ここの「ふしぎめがね」が入っている封筒を綴じ込むのも大変なようなので、ぜひその辺もチェックしていただければと思います。
製本がとっても難しいぺぱぷんたす。「ふしぎめがね」が入った封筒と、本誌8ページの丁で苦戦。
— ぺぱぷんたす (@paperpuntas) July 2, 2019
機械を調整し、進んでは止まり、進んでは止まり。奔走するスタッフの方と機械に、がんばって!と声をかけることしか(心の中で)できない無力な私たち。実はこの丁、難しいポイントが他にもあり…笑。 pic.twitter.com/gQEYuQR8ZM
そんなわけで、子どもも大人も楽しめる一冊ですので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
「ぺぱぷんたす」サイト
https://www.shogakukan.co.jp/pr/paperpuntas/
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