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今まで黙ってましたけど、今年の始めに東京国立博物館で博物館に住む妖精と思われるおじさんに会いました。

常設展の土偶やまが玉や金印を密かに興奮しながら見ていたときのことです。
前方の角から初老の紳士が現れて、
「失礼致します。さて、この金印に乗っている動物は何でしょうか?」と
唐突にクイズを始め、その後有無を言わさず30分のクイズ及び講義に入りました。

その間に、金印から土偶に、土偶から岡本太郎と太陽の塔に、万博とエッフェル塔と東京タワーに、戦後超インフレ時代に、時代と経済と芸術に、ヨーロッパと葛飾北斎に、清少納言とひらがなと女性と文学に、と話は延々広がり、私は「へぇ〜ほーっ」と聞いていたのですが、いつまで続くのかな〜と思い始めた頃、サッと博物館の展示案内を差し出して、「閉館まであと30分ですから急いでください。」と入り口から去って行きました。

「経済が豊かになっても誰かが芸術をやらないといけないのです!」という決め台詞を残して。その後、ひっそりおじさんを探したけど、いなかったのです。ちなみに金印に乗っていたのはヘビでした。

写真はテキスタイルデザインをやりたいと思っていた高校生の頃に描いたもの。妖精おじさんの情熱にアンサーピクチャーです。若気の至りでしょうか。